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  • 執筆者の写真しゅたいなー

燕尾服を着た美しい死体


天才の、誰もその姿を知らない。

たしかに、どこかで、彼の音楽を聞いた。

幻のように美しく、人間のように儚い旋律。

何度も死を繰り返す音楽家。

たしかに、どこかで、誰かがそう言った。

幻にしては生々しく、ずっと昔のように消えない筆跡。

眠る前に、夢で死んだはずの音楽が枕元に立つんだ。

「こちらにおいで」

私の耳に天国が囁いた。


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