top of page
検索
執筆者の写真しゅたいなー

燕尾服を着た美しい死体


天才の、誰もその姿を知らない。

たしかに、どこかで、彼の音楽を聞いた。

幻のように美しく、人間のように儚い旋律。

何度も死を繰り返す音楽家。

たしかに、どこかで、誰かがそう言った。

幻にしては生々しく、ずっと昔のように消えない筆跡。

眠る前に、夢で死んだはずの音楽が枕元に立つんだ。

「こちらにおいで」

私の耳に天国が囁いた。


閲覧数:167回0件のコメント

最新記事

すべて表示

勇者と魔王と無茶ぶりナレーター

不問3。 ファンタジーラブコメ。 勇者と魔王のキスシーンあり。 序盤と終盤にアドリブ必須シーンが入っています。 気を付けてね。 勇者:性別不問。キザな天然たらし。おそらく攻め。メイン武器は剣。魔術だけは使えない。攻撃力と素早さに振っているタイプ。...

オロバスの舞踊

暗闇に音が響く。 低くしっとりとしたピアノの音色がぼんやりと鳴った。 次第に音ははっきりと足踏みする。 妖しい音色が手を繋ぎ、アンドゥトロワ 秘密の夜に、薄明かりと共にステップを踏む。 見えないお客達はリズムに会わせて己が夢を踊る。...

死んだ君はどこにもないどこかにいる

迷惑なのでしょうけどと呟いて ベンチの端でずっと待っていた 空は絶えず変わり続けて 時のない私はヘッドホンが音だった 常に予想された音符と休符 自然はなく絶えず同じ音を聞き続けた 譜面に作者が刻まれることはなくても 耳の前には鮮やかに奏でる指先を見た

bottom of page