勇者と魔王と無茶ぶりナレーター
- しゅたいなー
- 2020年6月12日
- 読了時間: 8分
不問3。
ファンタジーラブコメ。
勇者と魔王のキスシーンあり。
序盤と終盤にアドリブ必須シーンが入っています。
気を付けてね。
勇者:性別不問。キザな天然たらし。おそらく攻め。メイン武器は剣。魔術だけは使えない。攻撃力と素早さに振っているタイプ。
魔王:性別不問。高飛車だがポンコツなところがある。おそらく受け。杖の有無を問わず魔術を使える。耐久力と魔力に振っているタイプ。
ナレーター:性別不問。無茶ぶりをするS。SはサービスのS。ただ虐めればいいってものではない。それを忘れてはならないぞ。
ーーー
N「夜闇にそびえたつ魔王城。数々の苦難を乗り越え、最後の間に辿り着いた勇者は、ついに最大の敵、魔王と対峙する」
魔王「来たか、勇者よ」
N「魔王は玉座を立ち、不敵な笑みで禍々しい杖を構える」
勇者「ああ、お前をぶっ倒して世界を救ってやらぁ!!」
魔王「ふっ、やれるものならやってみるといい!」
勇者「うおおおおおっ!」
N「勇者は光り輝く聖剣を構え、魔王へと一直線に突撃していく」
魔王「愚かな!」
N「魔王は杖を振り、黒い衝撃波を勇者目掛けて放った、しかし勇者は素早く前転して魔法をかわし、懐へともぐりこんだ」
勇者「お前のほうがな!!」
N「勇者はここぞとばかりに新たな技を使った!」
勇者「くらえ! (任意の必殺技)!!」
魔王「なんだそれは!! ぐあぁぁっ!」
勇者「いや俺もよく……」
N「説明しよう!! (任意の解説)」
魔王「ぐふっ……(任意の感想)ではあるが、なかなかやるではないか。だがな勇者よ……」
N「魔王はニヤリと笑い杖を構えた。そして、なんと■■■■■しはじめた!!」
勇者「な、なにをしてんだよ、魔王!!」
魔王「うぐっなんだこれは!? 勇者ぁ!! 体を操るとは小癪な!」
勇者「お、俺はなにもしてねぇ!!」
魔王「言い訳するでない!! カオスアブソリュートレイッ!!」
勇者「うぅっ! 畜生!」
魔王「ハッハッハ、油断するとは愚かな!」
勇者「グゥッ……動きがまるで読めねぇんだよ」
魔王「卑劣な術を使っておいて何を言う……だがその様子からして、もう術は使えんようだな、勇者よ?」
N「油断しきった顔で喋る魔王はあろうことか■■■■■しはじめる」
魔王「なッ!! あぁぁぁぁ!! その術を今すぐやめい! 真面目にやる気があるのか!?」
勇者「そっちこそ! 頭おかしいふりしても俺は手加減しねぇぞ!」
魔王「何を! 貴様ぁ、この恥辱、必ずや晴らしてくれるぞ! はぁぁぁぁ!」
N「魔王は杖にパワーを貯めながら、勇者に向かって駆け出す。迫りくる魔王を勇者は瞬時に避けた……はずだったが、二人は互いの足をひっかけあい、仲良く一緒にその場に倒れた」
魔王「ぐうーっ!!」
勇者「いてーっ!!」
魔王「き、きさ、きさま……」
勇者「チッ、なんだってんだよ……」
魔王「こっちが聞きたいわ」
勇者「調子狂うぜ……はぁ」
N「二人はよろめきながらも立ち上がり、再び向き合い、睨みあう」
魔王「……次は外さぬ! 勇者!」
勇者「それはこっちの台詞だッ!」
魔王「死ねィ!」
勇者「オラァッ!」
N「魔王と勇者は互いの剣と杖をぶつけ合うかと思ったが、お互い空振り、勢い余ってーー二人の唇は重なった」
勇者「(任意のリップ音)」
魔王「(任意のリップ音)」
勇者「ぷはっ! 何だよこれ! ペッペッ!」
魔王「うぅっ! け、汚らわしい…… 貴様、魔法は使えないと聞いていたが……騙しおって変態が!」
勇者「だから誤解だっつーの! 俺は天才だが、魔法だけは使えねぇんだ!」
魔王「何ぃ・・・?」
勇者「つかお前が使ってんじゃねぇのかよ!」
魔王「馬鹿者ぉ!! こんな恥知らずな魔法など使うかぁ!! は、は、はじめてだったんだぞっ!」
勇者「は? 何がだ?」
魔王「何でもないわ!」
勇者「しかし、お前がやってないってなると……一体誰が……」
魔王「分からぬ……我のしもべどもはこのような術など使えぬし……」
勇者「ともかく! これじゃまともに戦えねぇ! 一旦戦いはやめだ!」
N「魔王は頷いた、かと思ったが、邪悪な笑みを浮かべて杖で殴り掛かる」
魔王「いや、今こそ好機よぉ! ハァァッ!」
勇者「何ッ・・・!? ぐあぁぁっ!」
魔王「ち、違う、今のは私では……」
N「戸惑う魔王に勇者は跪いて花束を渡して愛の言葉をささやく」
勇者「(任意の愛の言葉)」
魔王「なぁっ! こんな時に何をいっておる馬鹿者ーッ!」
勇者「違うッ、今のは俺の意思じゃねぇッ!」
魔王「へ? もう頭が混乱してきたわ……」
勇者「そりゃ俺もだよ。しかしよぉ、俺ら以外に誰も見当たらねぇ、一体どこの誰が術を……」
N「勇者は訝し気に辺りを見渡した、すると床一面に花が咲き始める」
勇者「あぁ!? 何だこの花は!」
魔王「ぬわーっ! 我が邪悪でパーフェクトに美しき魔王城がぁッ!」
勇者「ふざけたことしやがって! 一体何の意味があるってんだ?」
魔王「……奇術師よ、貴様は完全に我を怒らせたァ! 出てくるがいい! フンッ!」
勇者「うおっ! こっちに攻撃とばすなって」
魔王「どこだぁ! 出てこいといっているーッ!」
勇者「やたらめったらビームとばすなっ! 魔王、ちょっと落ち着けって!」
魔王「うるさぁい! しねしねしねしねぃッ!」
N「ガハッ」
勇者「あ? 魔王、ちょっと静かにしろ!」
魔王「はぁ……はぁ……な、なんだ……」
勇者「今なんか上から聞こえなかったか」
魔王「そういわれてみれば……」
N「見上げた魔王の顔に目玉焼きが落下し、覆いかぶさる」
魔王「あっつ! 我の顔がぁ!」
N「すかさず勇者が魔王に駆け寄って目玉焼きを手でつかむとーー自分の口の中にそれを入れた」
勇者「目玉焼き……髪についてたよ(かっこいい声)」
魔王「髪じゃないのだが!?」
勇者「いや、今のは……」
魔王「あ! 操られていたのか、まったく……」
勇者「そうだ。何が目的でこんなこと……」
魔王「しかし、我は見逃さなかったぞ。姿を現せい! 変態術師めぇ! エンシェントダークネスメテオ!」
N「邪悪なる巨大隕石が天井めがけて放たれる! 隕石が天井を破壊しようとしたその瞬間! それは変わり果てた姿に変化した……そう、かわいいウサちゃんぬいぐるみに! ぬいぐるみはファンシーな光をまとってお花畑に落ちましたとさ」
魔王「あぁぁぁ! こやつめ絶対に許せん! 姿を現して堂々と戦わんか! 魔王に対して無礼であるぞ!」
勇者「そうだ、臆病者がよぉ!」
N「イキがっている勇者と魔王になぜか突然飛んできたキツツキが激突!」
勇者「いってぇ! どっから来たんだよ!」
魔王「我の自慢の美肌がぁっ!」
勇者「畜生、一体どうすればいいんだよ……」
魔王「勇者、手を貸せ」
勇者「は?」
魔王「奴が上にいるのは間違いない。であるからして…」
勇者「俺とお前で一斉に攻撃すんのか?」
魔王「そういうことだ」
勇者「はぁ、やってみっか」
魔王「準備はよいか」
勇者「ああ、いつでもいけるぜ」
魔王「では…3、2、1、」
勇者と魔王「ハアアアアアッ!」「食らえぇぇぇぇッ!」
N「勇者と魔王は互いに力を合わせ、天井めがけて最大限の攻撃を放つ。それが無駄な行為だとも分からずに」
勇者「クソッ、ダメか」
魔王「否、無駄ではないわぁ! 我が力に慄き平伏せ、グラビティフォール!」
N「ぎゃあーっ! ぐふっ! いったたたぁ……」
勇者「おおッ、遂に姿を現しやがったな!」
魔王「連続攻撃には弱いようだなぁ? えぇ? 変態」
N「いえいえ、私は変態などではなく、ただ……」
魔王「うるさぁい! 貴様散々もてあそんでおいてぇ! こうべを垂れよッ!」
N「ぐほぉっ」
魔王「そのまま犬のように床でも舐めているがよい! ハッハッハ!」
N「(苦しそうに)更に重力が加わっていく中で、魔王の体がチワワに変化していく」
魔王「わ!? き、きさ……」
勇者「魔王ッ!」
魔王「わふん!?」
勇者「なんてことしやがった!」
N「あのっもうご勘弁をっ! 私、か弱いただの人間なので……うぐぅっ!」
魔王「がるるる……」
N「元の姿に戻りたいならやめ、うごぉっ」
魔王「…………わん」
N「うぎゃっ!? はぁー、助かったー」
魔王「ゲホッ……き、貴様ァ……」
勇者「はぁ……てめぇ、今の行為は俺に対しても喧嘩売ってんだぞ。分かってんのか?」
N「ええ、ですが……」
勇者「はぁ? 言い訳なんざ……」
N「突然、(任意の困難な状況)! これが最終決戦だ! 頑張れ勇者! 負けるな魔王!」
魔王「アドリブ」
勇者「アドリブ」
N「アドリブ」
魔王「アドリブ」
勇者「アドリブ」
N「アドリブ」
事態に蹴りを付けたところで、次の台詞に行く。
勇者「はぁ……はぁ……おい、そこの珍妙な奴! これ以上術を使うんじゃねぇ! 俺も攻撃するぞ!」
N「イヤァ、そう言われましても……」
魔王「術を使わぬか、ここで半殺しか、それ以外の選択肢は貴様にはないぞ」
勇者「例え同じ人間だろうと許せねぇ……俺たちの戦いを邪魔しやがって」
N「そんな怖い顔で見ないでくださいよ……私はただ、お二人の応援をしようとしただけでして……」
勇者「アァッ!?」
N「わかりました。わかりました。もう術は使いませんから痛いのだけはやめてください!」
魔王「それだけではすまぬ! この城を元通りに完璧に戻すまで我は許さぬ!」
N「えぇ~……」
魔王「(威嚇する)」
N「わかりましたよぉ……」
魔王「さっさと取り掛かれ! 完璧に元の城に戻すのだ! 完璧にだ!」
N「はーい……」
魔王「なあ、勇者よ……」
勇者「なんだ、魔王……」
魔王「暫くは貴様と戦う気が起きそうにないのだ」
勇者「あぁ、俺もだ。こんな出来事の後で戦闘なんざ、無理だ」
魔王「次の満月の夜まで、休戦としたいのだが、どうだ」
勇者「かまわねぇよ。じゃ、俺は帰るわ」
魔王「待ってくれ、勇者、その……」
勇者「なんだ?」
魔王「我と戦うまで、くたばる……ような事があったら笑ってやる!」
勇者「あぁ、お前は絶対に俺が倒すから安心しな」
魔王「ほざきおって、若造が。勝てるわけあるまい。見たか、我の魔力を」
勇者「あぁ、すごかったぜ」
魔王「は……そ、そうだろう」
勇者「あぁ……ま、それ以外は全部、俺が格上だがな」
魔王「な、なにをっ!」
勇者「ははは、あー! お前のくだらねぇ話に付き合ってたら朝になっちまった!」
魔王「人のせいにするでない! とっとと帰るがいい!」
勇者「今日のところはそうしておいてやるさ、じゃあな」
魔王「あぁ……」
N「名残惜し気に見送る魔王。思いつめた表情の勇者。離れていく距離とは反対に、互いの思いは惹かれあっていく、そう、二人の心には特別な感情が芽生え始めていたのだった……さて……お二人はこれからどんな物語を見せてくれるのでしょう……楽しみですね、ああ楽しみです。アナタも……そう思いますよね? そうだ、私の名誉のために言っておきますが……私は約束は破ってはおりませんよ。何故ってただのナレーターですので。物語のナレーターをしている、ただそれだけでございます。おっと、どうやら魔王が此方へ戻ってくるようです。ではご機嫌よう、またお会いしましょう、うふふふふ」
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